2024年度民間社会福祉施設職員等オンライン海外研修・調査(障害者班)
公益財団法人社会福祉振興・試験センターの標記オンライン研修に参加しました。志望動機を添えて高松市に申込み、推薦いただいたうえでの参加という仕組みだったので、ちょっと緊張しました。名簿を見ると、全国で90人ほどが参加されたようです。
この研修では、スウェーデンの障害福祉が紹介されました。特に、重度の障害がある方が通う施設における自己決定の支援が中心でした。
1日目は、スウェーデンの国自体の紹介と、生活の様子や福祉の歴史、福祉サービスの状況の紹介でした。
手厚い福祉のイメージの通りと感じたのは、パーソナルアシスタンスというサービスでした。これは、ヘルパーではなく、本人がやりたいことを24時間365日実現できるように自己負担なしで利用できる支援者派遣(利用者が選んで雇用する)のサービスでした。いつの情報かわからないものの、利用者19,000人、予算270億SEKということでした。人口比から簡単に計算してみたところ、日本でいえば20万人に4.5兆円の予算で提供していることになるのか、と驚きました。R5年の厚生労働省障害保健福祉部予算で、自立支援給付費と地域生活支援事業費等の合計が1.5兆円とあるので、都道府県・市町村の分を合わせて倍にしても、単一のサービスだけで、これを上回るってことでしょうか(計算や理解が間違っていたらごめんなさい)。
それと、支援者の地位(と賃金)が高いのはいいですね。准看護師の資格が求められるようなので、勉強は必要ですが、専門性を持つ人材として大切にされている感じがします。
ただ、通訳・コーディネートのエーミルさんは、スウェーデンの福祉も完全ではなく、関係者が集まるといつも至らないところが話題になると言っていました。特に、コロナ以降は予算が絞られていて、十分な支援ができないことを問題に感じているということでした。
2日目は、通所施設の見学(動画での紹介)でした。プライバシー意識が強い国なので、実際の支援の様子を見ることができるのは貴重なようです。それぞれの利用者が自身の取組む活動を選んでスケジュールを作っていたり、ゲームの中でなかなか言葉にならない意思表示を支援者が引き出している様子を見ました。また、スヌーズレンと呼ばれる、リラクゼーションのツールが置かれる部屋があり、ゆったり過ごせるようになっていました。自己決定もその表出も練習が要るものなので、それを指導している様子が見られたのがとてもよかったと思います。
2日目には、参加者同士の交流もありました。4人程度のグループに分かれて、自己紹介と参加しての感想、それぞれの課題などの情報交換をしました。時間が短くて、物足りなかったものの、知らないところで頑張っている人たちと交流できるのは、ありがたいことですね。
自己決定を尊重する必要については、当然支援者全てが知っています。ただ、集団で活動する場合には、一人一人の意見をすべて聞くことはできないと制限されがちです。さらに、表出が十分でないと忖度や推測で済まされてしまうことが多いと思います。このようにしっかり取り組まれている姿を見るのは、改めて自分を振り返る大切な機会となりました。
個人的には、なぜこのような手厚い支援ができるか、もっと知りたいと感じました。当然お金は無尽蔵ではないのだから、どこか別のところを大きく削ってメリハリをつけているはず。そういう情報が知られるようになれば、日本でも必要な支援が充実するのではないかと思うからです。