就労,  障害者雇用

障害者雇用率制度

 障害がある方の就職を考えるとき、とても重要なこととして、障害者雇用率制度があります。今回はこの制度について紹介していきます。

 障害者雇用率制度とは、事業主は従業員の一定の割合(法定雇用率)を満たすように障害者を雇う義務があるという決まりです。これができない場合は、不足した人数に応じて、お金(雇用納付金)を国に支払う必要があります。ただ、納付金を払っても雇用義務がなくなるわけではなく、行政指導(達成指導)が行われます。雇用計画を立てて障害者雇用を進めることを求められて、それでも達成できない場合、最終的には社名公表されます。

 2024年1月現在の法定雇用率は2.3%です。4月からは2.5%、2026年4月には2.7%に上がります。法定雇用率は、1976年に創設されたときの1.5%から時々改定されています。以下に法定雇用率と実雇用率の推移を示します。2023年は初めて実雇用率が法定雇用率を超えたのですね。

 雇用率は一般企業だけではなく、公的機関にも設定されています。現在は特殊法人や国、地方公共団体は2.6%。教育委員会は2.5%となっています。

 雇用する障害者の人数は、週30時間以上働く場合1人と数えます。月~金で1日6時間働いたらということです。

それより短い週20時間~30時間の場合、0.5人と数えます。ハーフカウントと呼ばれます。1日4時間の人や週休3日にする場合です。

 さらに、身体障害者と知的障害者は、重度の人は2倍の人数と数えます。ダブルカウントと呼ばれます。重度障害者が短時間勤務の場合は1人とカウントされます。

 雇用納付金は、障害者不足人数1人当たり月額5万円を徴収します。1年で60万円になります。このお金は、調整金(法定雇用率を超えて障害者雇用する会社に対して、超過1人当たり月額2万7000円)や、障害者雇用のための設備などのための助成金に使われます。

 中小企業については、従業員数100人以下の場合は徴収していないということです。

 雇用率の達成状況は、事業主が毎年6月1日に提出する高年齢者・障害者雇用状況報告(ロクイチ報告とかロクイチ調査と呼ばれる)で把握されます。実雇用率が低い事業主には、「雇入れ計画作成命令(2年計画)」が出ます。これが計画通り進まないと「雇入れ計画の適正実施勧告」が行われ、計画期間が終了しても改善が特に遅れている場合は、「特別指導」が行われます。そのうえで「企業名の公表」となります。

公表企業数の推移

 障害者雇用といえば、ほとんど雇用率達成のための取組みになるので、しっかり把握しておく必要がありますね。

 正確な情報は厚生労働省「事業主の方へ」ページでご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html